洗濯ネットのわからないこと、あらためてプロに聞きました。

出典:写真AC
毎日の洗濯で使う洗濯ネット。使いながら疑問を抱くことはありませんか。
種類が多くてどれを買えばいいのかわからない。
服は何枚まで入れていいの? この服はネットに入れる必要はある? どのネットに入れればいいの? いつまで使えるの?
考え始めるとキリがありません。
そんな疑問の答えを知り、洗濯ネットを適切に使えるようになれば、汚れ落ちも良くなりますし、衣類が受けるダメージを減らせ、長持ちさせられます。
大切な衣類をきれいな状態で長く楽しむことができます。
掃除のプロであり家事のプロでもある山口かな先生に、疑問に答えていただきつつ、洗濯ネットを使いこなすコツを教わります。
洗濯ネット、どんな衣類に使っていますか。
そもそもなぜ洗濯ネットが必要なのかというと、それはもちろん衣類を傷めずに洗うためですよね。
服の型崩れを防ぎ、衣類を傷めないように優しく洗うため。
山口先生がネットに入れた方が良いと考えるのは次のような衣類です。
・やわらかい素材の物。そのまま洗濯すると伸びる恐れがあります。
・チュールやレース等の薄い素材の物。洗濯中に引っ張られて破れる恐れがあります。
・ボタンやホック、スパンコール等の飾りがついている物。洗濯中に引っ掛かって取れる、飾りの部分が傷む、生地が破れる恐れがあります。
一方で他の衣類を傷つける可能性もあります。
ネットに入れるべき衣類のイメージができたでしょうか。

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洗濯ネットの選び方。
どのネットにどんな衣類を入れるか。これは小さくても日々の悩みどころです。
山口先生は主に次の3種類を使い分けているそうです。

●目が細かいネット(写真上)…保護力が高く、糸くずが付きにくいです。生地の擦れを防ぐので、刺繍等が施された繊細な衣類や、毎日洗うワイシャツ類を入れています。
●目が粗いネット(写真中)…水や洗剤がネットを良く通るので、汚れ落ちが良いです。汗や皮脂をよく吸ったTシャツやジーンズ等を洗う時に使います。
●クッション性のあるネット(写真下)…特に丁寧に洗いたい物を入れます。型崩れを防ぎたい物、おしゃれ着やインナー、ニット、毛羽立ちを防ぎたい服を洗います。
また、これら以外にも特定の衣類に特化したネット(インナーウェア用、パンツ用、帽子用、靴用、布団用等)が市販されていますが、形や大きさがそれ専用に考案されているため、使い勝手が良いです。
衣類やアイテムの傷み防止に取り入れてみましょう。
洗濯ネットの使い方。基本をおさらい。
洗濯ネットの使い方を基本からおさらいしましょう。

まず、衣類は裏返してたたんで入れます。
これは大原則です。
デリケートな素材や刺繍・ボタンを服の内側部分に入れることで、他の服やネット地との摩擦を防ぎます。
一方、汚れた部分があればそこが外側にくるようにたたんで入れます。
洗剤や水が届きやすくなり、きれいに洗い上がります。
どのサイズのネットを使えばいいの?

洗濯ネットには様々な大きさがあります。
山口先生は「洗いたい衣類が洗濯ネットの中で少し動くくらいの大きさを選ぶと良いですよ」とアドバイス。
衣類に対してネットが大きすぎるとネットの中で泳いでしまい、ネットと擦れて傷みに繋がります。
一方、衣類に対してネットが小さすぎると、衣類がぎゅうぎゅうに押し込まれた状態になり、洗剤や水が十分に行きわたらず、汚れが落ちにくくなります。
写真くらいの余裕をもって入れられるのがベストです。

なお、ネットに入れた時にベストサイズになるようにたたむコツは、ネットの上に裏返した服を置き、そこでたたむこと、と山口先生からのアドバイスです。
1枚のネットに、服は何枚?

ネットに入れる衣類の枚数は、1つのネットに1つの衣類が原則です。
複数の衣類を一つのネットに入れると、汚れ落ちが悪くなったり、ネットの中で衣類同士が擦れて生地が傷むことがあるからです。
また、ネットに対して服が小さすぎてスカスカの状態だと、ネットの中で動きすぎてかえって衣類の傷みの原因になるケースもあります。
ネットに余裕があるのなら複数枚入れてもいいことにしましょう。
原則を守って、特に傷めずに洗いたい物だけは1~2枚のみで洗うのがおすすめ、とのことです。
洗濯ネットは何枚必要?

では洗濯ネットは一家に何枚必要なのでしょうか?
家族構成にもよるので正解はないのですが、例として山口先生がご自宅で使われている分をご紹介します。
山口家は大人4人家族。
目が粗い物を5枚、細かい物を3枚、クッション性のある物を2枚、ストッキング用の物を1枚、計11枚を所有し、日々使い分けているそうです。
乾燥機にはネットに入れたまま?出してから?
洗濯から乾燥まで一度で行える洗濯機もありますが、そこで出てくるのが、「ネットに入れたままの状態で乾燥機にかけてもいいの?」という疑問。
山口先生によると、洗濯ネットに入れたまま乾燥機にかけると、ネットの中の衣類まで十分に風が行きわたらず、シワや生乾きの原因になりやすいそう。
面倒でも洗濯後は一旦取り出し、ネットから出して乾燥させる方が良さそうです。
その他、使用に関しては事前に洗濯機の取扱説明書でも確認してみてください。

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干し方にもひと工夫。

ネットに入れて洗う物は摩擦に弱い繊細な衣類が多いです。
せっかく丁寧に洗ったのですから、傷めずに干したいですね。
山口先生は、伸びやすいニット類を干す時は市販の平干し用のネットを使っています。
かるくたたんで風通しのいい場所に干せば、伸びたり形が崩れるのを防げます。

重みを分散させるために、複数のハンガーに分けてかける方法もあります。
洗濯ネットの保管方法。
使った後の洗濯ネットはどう収納されていますか。
なんとなくその辺に置いたり、干しっぱなしになっていたり、洗濯カゴや洗濯槽に入れたり、でしょうか。

ここは「使う場所の近くを定位置にして、家族にもわかりやすいように置く」という片づけの鉄則を実行しましょう。
山口家では洗濯ネットはたたんでサイズごとに分け、洗濯機の横に置いてあります。
ラベリングで何用のネットかが一目でわかるようにもしてあります。
これは、洗濯物を出す家族に自分で洗濯ネットに入れてもらうため。
家族は洗濯してほしい衣類に合ったネットを取り出し、服を入れて洗濯機へ。
家事の分担、軽減になるための工夫です。
洗濯ネットの交換時期はいつ?
洗濯ネットの交換時期って考えたことありますか?
100円ショップで買えるものからお値段のしっかりした物まで、洗濯ネットもピンキリです。
壊れたら交換するという声もありますが、中には何年使っても壊れない丈夫な物も。
山口先生は洗濯ネットを消耗品のように考えていて、気軽に使える物を、1年を目安に交換して使うようにしているそうです。
洗濯ネットの役割は“衣類を他の衣類との摩擦から守ること”。1年使い続けたネットはネット地が摩耗し、ハリが失われてくったりとなっているはずです。
これでは衣類を守ることが難しく、洗濯ネットとしての役割をあまり果たせないと考え、交換しているのだそうです。

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そして、交換後の古い洗濯ネットは掃除道具のスポンジやブラシを干したり、野菜の皮等を干したりと、別の用途でも活用されています。

洗濯ネットを使いこなして、おしゃれ上手に。
洗濯ネットにまつわる日々の疑問と基本の使い方を、家事のプロに教わってきました。
もう洗濯の前に迷わずに準備ができるようになったのではないでしょうか。
洗濯ネットを正しく使えれば、衣類を守ることができますし、洗濯の準備時間の短縮にもなります。
その分時間や心に余裕が生まれます。
小さなことですが、ぜひ取り入れて、すっきり気持ちよくお洗濯をしてください。