手つかずの子ども部屋の整理、始めましょう。
出典:写真AC
進学や就職、結婚などで家を出た子どもたちの部屋が「とりあえず置いておいて」「次に帰る時に片付ける」と言われてそのままになっている。
そんなご家庭は少なくないようです。
片付けのプロ宝生多美(たからぎ たみ)先生は、片付けの依頼を受けたお宅で荷物が残されたままの子ども部屋をたくさん見てきました。
いつかは片付けなくてはと思いながらも手をつけられないのは、片付けが面倒、苦手というだけでなく「子どもの思い出が詰まった物を勝手に捨ててはいけないのでは」という親心があるからだと、宝生先生は指摘します。
ただ、子ども部屋をそのままにしておくと、使えるはずの部屋が物置部屋になったり、暮らしにくかったり、家全体が片付かなくなったりします。
さらに、年を重ねると大がかりな片付けが億劫になることもあり、早く始めるに越したことはありません。
3人のお子さんの独立を見守ってきた宝生先生は、思いのこもった場所の片付けは、順番を守ることで感傷的になりすぎずに進めることができる、と言います。
物と気持ちを整理するポイントと、具体的な片付け方法を教わります。
ポイント① 一度に全部処分しようとしない
思い入れのある場所の片付けは、一度に全部を終わらせようとすると、体力だけでなく心理的にも負担も大きく、片付けの手が止まりがちです。
そこで宝生先生は、部屋全体ではなく、次のような小さな範囲から始めることをすすめています。
・場所ごと:机の引き出し1段、本棚1段、クローゼットの一角など、小さく区切った場所ごと
・アイテムごと:衣類、文房具、本、小物など、物の種類ごと
・迷いが少ない物から:紙くず、サイズが合わなくなった衣類、内容が古くて役に立たない参考書など、明らかに使わないと判断できる物から
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ポイント② 子ども本人に確認をする
片付けたり物を処分する際は、持ち主の意志を確認しましょう。
もう使わないだろうと思っても本人にとっては大切な物かもしれません。
勝手に移動したり処分してしまうと、親子関係にヒビが入りかねません。
スマートフォンを活用して、手を付けたい場所や物を写真に撮って送ったり、ビデオ通話で確認しながら作業を進めるのがおすすめです。
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子どもへの伝え方もひと工夫。
宝生先生は、片付けをスムーズに進めるために、子どもへの伝え方をやわらかくしてみましょうとアドバイスします。
「部屋を少し整えたいと思っているけど、送ってほしかったり、残しておきたい物はある?」
「一度確認してもらえると掃除がしやすくなって助かる」など。
『処分したい』ではなく『整えたい』という気持ちを伝えると、受け入れてもらいやすくなるそうです。
ポイント③ 期限を決める
子どもに「残してある荷物を見ておいてね」と伝えたものの、うやむやになって結局何か月もそのまま、ということがよくあるようです。
片付けを進めるために、子どもに確認してもらう期限を決めましょう。
次に帰省したときに一緒に見る、3か月以内に必要な物だけ持ち帰る、のように、具体的な区切りをつけます。
答えが返ってこない時は、「今月中に返事がなければ、明らかに不要な物から整理していくね」と伝えるのもひとつの方法。
期限を作ることで、親子ともに気持ちの整理がしやすくなります。
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子ども部屋に残った物の片付け方法。
実際に子ども部屋のスペースを片付ける時の方法をご紹介します。
物を3つに分類する。
部屋に残されている物を次の3つに分類します。
1)残す物
本人にとって必要な物、大切な物、今後使う予定のある物、親から見ても明らかに必要だと思える物です。
例えば
・通帳や卒業証書、各種証明書などの重要書類
・本人が大切にしている記念品や思い出のある物
・帰省時用の最低限の家具や寝具
これらは衣装ケースや空き箱にまとめ、「保管」「重要」などと書いて残します。
宝生先生のお子さんの思い出の品をまとめた「思い出ボックス」
2)確認が必要な物
親では判断しにくい物、どうすればよいかわからない物は「確認が必要な物」として分けます。
「確認」の区分を作ることで「捨てる」か「残す」かの2択ではなくなり、判断がラクになります。
子どもに意思確認をする際も聞きやすくなります。
アルバムや学校で作った作品、手紙、趣味のコレクション、着るかもしれない服などがその例です。
「要確認」としたケースや箱や袋にまとめて、一時保管し、持ち主に直接判断してもらいましょう。
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3)処分できそうな物
明らかに役目を終えている物は処分します。
古いプリントや書類、壊れた文房具や家電、空箱、使っていない日用品、サイズの合わなくなった衣類、使用期限や賞味期限がかなり切れた物、などです。
判断に自信がない時は、これらも持ち主に処分してもいいかを確認しましょう。
ちなみに、宝生先生の経験によると、これらの物はかなりの確率で「処分していいよ」と言われるそうです。
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作業の順番としては、まず「処分できそうな物」を分けて、その後で「確認が必要な物」「残す物」、と分けると物も気持ちも整理がつきやすくなるそうです。
思い出が詰まっていそうな物から作業を始めてしまうと手が止まってしまうので、これらはざっくり避けておいて、最後に手を付けるようにしましょう。
一時保管場所に移動させましょう。
本人に判断を委ねる物が多い時は、一時的な置き場所を作って保管します。
これで、少なくとも子ども部屋の空間を整理することはできるようになります。
元子ども部屋の押し入れに入れてある、宝生先生のお子さんの思い出ボックス。
フタつきのケースやボックス、段ボールなど、積み上げられる物にまとめて収納し、「確認待ち」「送る予定」のように分類、具体的な中身、入れた日付を書いたものをはります。
押入れやクローゼット、収納棚、納戸、ベッド下収納など、生活の邪魔にならず、管理しやすい場所に保管しましょう。
保管期限を、次に帰省したとき、半年以内、年末までに、というように決めて持ち主に共有し、整理してもらうようにしましょう。
空いた部屋の“次の役割”を決める。
子ども部屋の片付けは必然性がないことも多いため、作業が止まりがちです。
そこで、片付けを進めるために、宝生先生は片付け後の部屋の次の使用目的を具体的に決めることを提案しています。
夫婦の寝室、趣味の部屋、書斎、客間、家事室、収納部屋、使い道はたくさんあるはずです。
「このままにしておく部屋」から「これから活かす部屋」へと意識が変わると、片付けのモチベーションになって作業も進むと言います。
なお、宝生先生のお子さんの部屋は、今では先生のオンラインミーティングができる仕事部屋になったり、客間になったりと、新しい目的で活用されています。
片付けが終わり、来客用の部屋になった宝生家の元子ども部屋。
独立するときは「物」も一緒に。
結婚や就職で家を出る子どもたちからすれば、実家には自分の物を置いておくための十分なスペースがあるように思えます。
親としては、子どもの独立が嬉しい反面少しの寂しさもあるため、「そのうち取りに来るから」「今の家は狭いから置かせて」と言われると、つい「置いておいていいよ」と言ってしまい、子ども部屋が何年も残り続けることになります。
でも本当にそのままで良いのでしょうか。
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宝生先生が自身で意識して子どもにも人にも伝えているのが、「独立するときは自分の物も一緒に」という考え方。
先生は「自分の物は自分で責任を持つ」ということを日ごろから家族間で共有し、子どもたちにも伝えてきました。
たとえすぐに持っていけないとしても、中身がわかるように整理して収納してあるだけで、残す方も残される方も心持ちが変わってきます。
実家に置いてある物がだれの物かがわからない「放置物」ではなく、持ち主である子ども本人が管理する「保管物」になり、責任の所在が不明な物が家からなくなります。
これで、その家に住む人の心も軽くなります。
親の家は倉庫ではないこと、親も年齢を重ねれば重い物を動かすのも大変になり、管理する気力や体力も変わってくること。
これらをさりげなく伝え、家族にとって心地よい“これからの家の空間”を作っていけるようになるとよいですね。