片付けのプロに教わる、食器棚をスッキリ使いやすくする整理方法。

プロの片付け方法で、出しやすく戻しやすい食器棚を作ろう。

プロの片付け方法で、出しやすく戻しやすい食器棚を作ろう。

出典:写真AC

毎日使う食器棚。出し入れする度に使いづらさを感じていませんか。

今回は収納のプロ櫛田佳子(くしだ よしこ)先生に、使いやすい食器棚にするための4つのステップと、収納方法を教わります。

 

食器の収納で一番大事なことは「取り出しやすく、戻しやすい収納にすること」と櫛田先生は言います。

器を取り出せても戻す場所が無かったり戻しにくかったりすると、手近な空間に適当に置いたり、外に出しっぱなしになったりして、食器棚もキッチンも片付かなくなります。

 

櫛田先生の経験上、食器棚は家庭によって個性が様々で、家族構成やライフスタイル、棚の形、入れる食器等で一つとして同じものはなかったそうですが、それでも、基本の片付け方は共通。

次の4つのステップで整理が可能になるそうです。



使いやすい食器棚を作るための4つのステップ


  1. 今の食器棚を分析し、理想の食器棚をイメージする。
  2. 食器を整理する。
  3. 食器棚に収納する。
  4. 定期的に見直す。

 

櫛田先生の手順と収納のアイディアで、日々の家事をラクに効率よくする食器棚を目指してみませんか。

【STEP1】食器棚の現状を分析し、理想をイメージする。


食器棚の整理をしようと思い立って、いきなり物を動かし始めるのはお待ちください。

それでは自分の位置がわからないのに見えないゴールに向かって闇雲に走り出すようなもの。

まずは食器棚の現状を把握し、どんな食器棚にしたいか、ゴールを明確に描きましょう。

今の食器棚の問題点や悩み、不便に思う点を洗い出してみてください。例えば…


  • お皿が重なり過ぎていたり、奥にあって取り出しにくい。
  • どこにどの食器があるか分からない。
  • 食器を取り出すのに時間がかかる。
  • 使わない食器が場所を取っている。
  • 高い場所にある食器が取りにくい。


食器棚の現状を分析

出典:写真AC

問題点が明確になったら、次は「理想の食器棚」をイメージしましょう。


  • 必要な物がワンアクションで取り出せる。
  • 整理されてどこに何があるか一目で分かる。
  • 見た目が整って美しい。
  • 必要な食器が必要な点数揃っている。


いかがでしょうか。

あなたが使いやすいと思う食器棚の理想を具体的にしましょう。

【STEP2】食器棚にある物を整理する。


ゴールが明確になったらいよいよ整理を始めます。

まずは食器棚の中身を全部出し、4つのカテゴリーに分け、食器棚に入れるべき物を選び出します。

櫛田先生は「一見大変そうに思えますが、すべての食器を出すことで持ち物を正確に把握でき、スムーズに整理できるようになります。結果、片付け作業の時短にもなりますよ」と言います。


使うのは日本清掃収納協会ではおなじみの「4分類シート」。

ブルーシートを「いる」「いらない」「迷い」「移動」に区切り、その上で整理をしていきます。

いる:今キッチンで使っている物、将来使うと明確にわかっている物。

いらない:現在使っておらず、今後も使わない物。使う目的が明らかでない物。

迷い:どうするか8秒以上迷った物。

これらは分類が終わったら一旦箱等に入れて別の場所に保管し、半年後に見直します。

移動:別の場所で使ったり保管するべき物。本来その物があるべき場所へ移動させる物。


こちらの写真は同じシートを使って櫛田先生が行った、実際の食器棚の整理の様子です。

「いる」(左上)にある物だけを食器棚に戻すので、棚の中に余裕が生まれ、出し入れがしやすく、奥まで見渡しやすくなります。


「いる」や「移動」(左下)は決めやすいですが、「いらない」(右上)や「迷い」(右下)の判断には時間がかかりがちです。

この日「いらない」と判断したのは、お孫さんが小さい頃に使っていて今はもう使ってないプラスチックの食器、不揃いの食器、用途が同じ食器等です。

「迷い」に置いたのは、大人数の来客に対応するためのたくさんの湯のみ。

一旦は食器棚から移動させましたが、半年後に見直した時に必要と感じ、来客用の食器置き場に戻しました。

この4分類作業について、「始めは『迷い』が多いと思います。でも大丈夫!今迷った物でも半年経つと手放せたり、やっぱり必要だと決断できるようになっていきます。定期的に見直すことで物も迷う気持ちも整理され、スッキリした食器棚に近づいていきますよ。」と櫛田先生はエールを送ります。

一度に完璧にできなくても良いので、複数回にわたって、時間をかけて選別していきましょう。

【STEP3】食器棚に収納する。


STEP2で「いる」と判断した物を、ワンアクションで取り出せるように食器棚に収めていきます。

「使用頻度」「収納する高さ」を意識すると、使いやすくなります。

食器棚を高さで3つに分け、そこに適した物を収めます。

 

毎日使うものはすぐ手に取れる “テキパキスペース” (写真のオレンジの線で囲んだエリア)に収納します。

テキパキスペースとは、目線の高さから下ろした手の手首までの位置のこと。無理をせずに自然に物が取れる範囲です。

 

手の届きにくい上下の棚には、来客用や季節限定のような時々使う物を収納します。

 

上の棚(青線のエリア)には、比較的軽い、年末年始やお祝い事や季節行事でしか使わない物を。

下部(緑の線のエリア)には特別な料理用の大皿等、割れやすい物を収納します。

食器ではありませんが、重い調味料のストック等も一緒にこのエリアに収納しておくと良いです。

使用頻度に合わせた収納が完成しました。


具体的な収納方法については次の項目でご紹介します。

テキパキスペースにある引き出しには、写真奥から、よく使う保存容器、カトラリー、お椀や茶わん、毎日使うカップ類が収められています。

ワンアクションで取り出すための収納アイディア。

 食器棚からワンアクションで取り出せるようになる、収納のアイディアをご紹介します。

この時、収納スペースに対して8割に収める“8割収納”を守ると使いやすくなるので、同時に目指してみましょう。


食器棚の収納場所は大きく分けると扉の中の棚と引き出しの2つがあり、それぞれに適した収納方法があります。


 

1)扉タイプへの収納方法


扉タイプは可動式の棚板で区切られたシンプルな物が多いです。

手前の物はすぐに取れますが、奥の物が取り出しにくい構造です。

種類の違う食器を重ねると下の物が取り出しにくかったり、食器が割れる危険性があります。

皿立てスタンドを使う


空間と物に余裕があれば、お皿は立てて収納しましょう。

ホームセンターや100円ショップ等で購入が可能な皿立てスタンドを使うのがおススメです。

上部にスペースがないと取り出しにくいので、空間は十分に確保しましょう。

プレートラックを使う


収納する食器が多い場合は上に重ねることになりますが、その際は市販のプレートラック等を使って、食器を直接乗せないようにしましょう。

積み重ねるより、見やすく、取り出しやすくなります。

こちらは一般的なコの字ラックを使った収納例です。

専用アイテムでなくても高さや入れる物を工夫すれば、取り出しやすい収納が作れます。

グラスやカップは1列に


揃いのグラスやカップは奥に向かって1列に並べると取り出しやすく、見た目も美しく整います。

特にグラスやカップは奥まで見渡せ、何がいくつあるかよくわかるようになります。

迷わずに戻せるようにもなります。


2)引き出しへの収納方法


引き出しは仕切りを使ってスペースを区切ります。



浅い引き出しの使い方


お箸やカトラリー類、薄い食器等を入れてもいいでしょう。

カトラリー類は箸、スプーン、フォーク、小さなスプーン等、種類に合わせて空間を区切り、ひとつの空間に一種類だけを入れるようにします。

どこに何がいくつあるのか、一目瞭然で、出し入れがしやすいです。

カトラリーが迷子になることも減るはずです。

小鉢や豆皿等も入れられます。

サイズにもよりますが、よく使う物は立てて入れ、深さのある器や時々使う器は重ねて入れると良いでしょう。

深い引き出しの使い方


下の方にある深い引き出しには、大皿を立てて収納するのがおススメです。

市販の収納グッズを活用するとワンアクションで取り出せます。


3)高い位置にある棚の使い方

高い位置の棚は人によっては手が届きにくく、出し入れがしにくい場所です。

櫛田先生はそういう場所に多くの物を収納することをすすめません。

踏み台が必要な高い場所は、物を置かずに空のままにしておく、もしくは手が届く高さの棚の前方にだけ置くというように、無理せずに出し入れができる空間だけを使うようにしましょう。

 

特に高齢者のお宅で、踏み台に乗ったり、ご家族のお手伝いがないと取れない場合は、安全のために高い棚は使わないようにとアドバイスもされているそうです。

収納する物も、毎日使う物は避け、季節限定で使う器等にするのが望ましいです。


中身が見やすい半透明の取っ手付きストッカーに入れ、中の物をラベルで表示して「見える化」すると、迷わずにケースごと引き出して戻せるようになります。


4)スペースを取る物の収納アイディア

 

器やカトラリー以外にも食器棚にはしまっておきたい細々とした物の収納方法をご紹介します。

 

保存容器の収納アイディア


形が不揃いで収納時に場所を取る保存容器。


まずは頻繁に使う物とそれ以外の物に分けましょう。

よく使う物は重ねずに、フタをした状態でテキパキスペースに並べると使いやすいです。


あまり使わない物はストッカーにまとめて入れて、食器棚の上段に移動させます。

バラバラにもならず、取り出しやすくなります。


同じ要領でお弁当箱も整理できますよ。

時々使う必需品の収納アイディア


おしぼりや来客用の茶托等、必ず使うとわかっている物は、半透明のケースに入れ、ラベリングをしておきます。

探す手間が省けますし在庫管理も楽になります。

軽ければ上の棚に、重ければ下の棚に収めます。

【STEP4】定期的な見直しを。

 

最後のステップは見直しです。

片付けは一度整理したら終わりではありません。

4分類シートを使ったり、定期的に食器棚の中を見直して、この整った状態を継続することが大切です。

「いるものだけで構成された食器棚は美しいですし、維持がとても簡単ですよ。」と櫛田先生。

その境地を目指して、チャレンジを続けてみましょう。

整った食器棚で、暮らしを快適に。

片付けのプロ櫛田先生の、出しやすく戻しやすい食器棚にするための整理方法をご紹介しました。

ご紹介した4つのステップ


  1. 現状の分析と理想のイメージ
  2. 食器の整理
  3. 食器棚に収納
  4. 定期的な見直し


を実行していけば、家事が効率的でラクになる食器棚に近づけます。


食器棚下段に収められた大皿と普段はあまり使わない物たち。

食器棚下段に収められた大皿と普段はあまり使わない物たち。

一度にすべて実行できなくても、できる場所から始めてみましょう。

取り出しやすく戻しやすい収納の快適さを実感できたら、次第にご家庭に合った食器棚に整って変化していくと思います。


整理された食器棚は、家事を効率よく楽しいものに変えてくれます。

あなたのキッチンの食器棚が使いやすくなるように、まずは今何に困っているかを考えるところから始めてみませんか。