クローゼットをもっと活用したい。すぐにできる“ブランコ”で収納力をアップさせた片付けのプロのアイディア。

クローゼットの収納量を増やすプロのアイディアをご紹介します。

クローゼットの収納量を増やすプロのアイディアをご紹介します。

出典:写真AC

服がどんどん増えて、クローゼットの中でぎゅうぎゅうの状態になっている。

ウォークインクローゼットがあるけど、うまく使いこなせていない。

服の収納に関するお悩みは十人十色です。

今回はその中でも、クローゼットの収納量を増やして服を管理しやすくする方法をご紹介します。

教えてくれるのは片付けのプロ宝生多美(たからぎ たみ)先生。


クローゼットに服をかける際のルールとして、着る人別、色別、用途別、種類別、季節別等さまざまありますが、クローゼットのスペースを有効活用するという点で宝生先生のおすすめは、“高さ”を意識した掛け方。

コートやワンピースなどの丈が長い衣類とジャケットやシャツ等の短い衣類を分けて掛けることで、短い衣類の下にまとまったスペースを確保し、収納スペースにします。



クローゼットがもう1段増える“ブランコ収納”

このスペースに、突っ張り棒を使って服をかける場所を作り、2段式のクローゼットにするのが、宝生先生のアイディア。


名付けて“ブランコ収納”です。


クローゼットの収納量が増えるので、収まりきらない服を泣く泣く手放したり、追加のハンガーラックを無理に部屋に置く必要がなくなります。


クローゼットを2段にする収納グッズは多数商品化されていますが、宝生先生は家族のニーズに合わせるために昔から手作りされていました。

きっかけは、子育て中に増え続ける子供服の収納に困ったこと。

服のサイズがどんどん変わり、子どもたちの好みも変わるため、増える服に合わせて収納用品を揃えていくと金銭的にもスペース的にも負担が大きくなることから、低コストで柔軟性の高いこの方法にたどり着いたそうです。

「ブランコ収納」の作り方

 

宝生先生流のブランコ収納、用意する物はたった3つです。

すべてホームセンターや100円ショップで入手できる物なので、気負わずに挑戦ができます。

 

<用意する物>


  • 突っ張り棒 1本
  • プラスチックのチェーン 2 本
  • S字フック 4つ


いずれも、服の重さに耐えられるようにある程度の太さがあり、耐荷重がしっかりしている物を選ぶことが大切です。

宝生先生は、自宅にあった直径1.5cmで50~90cmまで伸びる突っ張り棒で作ってみて、重くなり過ぎないように服の量を調節したそうです。


<作り方>


① 突っ張り棒を希望の長さに調節します。

あまり長すぎると服をかけた時にたわんだり折れる可能性がありますので、様子を見ながら伸縮してください。

宝生先生の経験から、伸ばしきってしまうと強度も不安があるので8割くらいの長さで使うのが良いそうです。


② クローゼットのポールにS字フックをかけ、チェーンを吊るします。


③ チェーンの希望の高さにS字フックをかけ、そこに突っ張り棒を渡します。

突っ張り棒が揺れて不安定に感じる時は、結束バンドを使ってS字フックと突っ張り棒を固定すると良いでしょう。


手づくりのブランコ収納は調整が簡単です。

チェーンの長さを変えれば高さを、突っ張り棒の長さや太さを変えればかける服の量を変えられます。

また、不要になったらそれぞれS字フック、突っ張り棒、チェーンとしてリユースができるので、エコでお財布にも優しいです。

ブランコ収納を使いこなそう。


大人のクローゼットに

大人のクローゼットにブランコ収納を使う場合、多様な組み合わせが可能です。

 

写真左は、上に重い服(冬服やジャケット類)をかけ、下に軽い服(夏服やブラウス・シャツ類)をかけた例。

他にも、上にオンシーズンの物、下にオフシーズンの物と分けたり、上に上着、下にパンツやスカートと用途別に、自分が使いやすいようにアレンジができます。

 

宝生先生は写真右のように、上段に仕事用の白いブラウスをかけてすぐに手に取れるようにし、下はプライベート用のブラウスと使い分けています。

 

洗濯物をたたむのが苦手な方は、服をハンガーにかける収納にしてみましょう。

洗濯後にまずハンガーにかけて干し、乾いたらハンガーごとクローゼットに収納。服をたたむ回数がグンと減り、家事がラクになります

子どものクローゼットに

子ども用のクローゼットとして使う場合は、上に大人の服、下のブランコ収納に子どもの服を掛けます。

スペースの有効活用だけでなく、子どもが取り出しやすい位置になるので、自分で服を出し入れすることができ、服の管理ができるようになります。

チェーンの長さを変えれば成長に合わせて高さを変えられます。

オンシーズンの服は下に、オフシーズンは上に掛けて季節に合わせた収納にすることも可能ですし、帽子やバッグなどの小物を一緒に掛けて、自分の持ち物を自分で管理する練習もできます。


いずれの場合も、下の段には軽い衣類をかけるように注意してください。

まだまだあります。クローゼットの有効活用方法。

引き出し収納を置く

たたんで収納したい服は、丈が短い衣類の下に作ったスペースに奥行きが合った引き出しの収納ケースを置き、そこに収めます。

ここで重要なのが引き出しのサイズ。

宝生先生は“奥行きが合った物”を選んでほしいと言います。


奥行きがありすぎると、その手前に引き出すためのスペースが長く必要になりますし、引き出した後の作業スペースが足りなくなって困ることもあります。

深すぎる引き出しは服が取り出しにくくなり、上に余分な空間ができますが、浅すぎるとぎゅうぎゅうに押し込んでしまい、服を傷めてしまいます。


収納ケースを購入する前に、どんな衣類をどれだけ収めるのかを事前に決めておきましょう。


収納時は、紙袋やブックスタンドなどを使って立てて収納するようにすると、見やすく、取り出しやすいので快適です。

引き出しの表面にはラベルを貼り、収納してある物が一目でわかるようにしておきます。

これらは片付けの基本です。


なお、引き出しケースは将来的に引き出しを移動させたり収納方法が変わることを考えると、何段かがくっついている物よりも、1つずつ分かれている物の方が使い勝手が良い、というのが宝生先生の持論です。


一時置き用の予備の空間に。

クローゼットの服と引き出し収納との間に、あえて予備の空間を作るのもひとつのアイディアです。

そのスペースにカゴを置き、ベルトや手袋、帽子等の小物を置くスペースにすると、家の中での迷子が減ります。


一度着ただけでは洗濯しない服の一時置き場所にしてもいいでしょう。


宝生先生はここにアイロンをかけたい服を入れておき、近くにアイロンとアイロン台を置き、すぐにかけられるアイロンエリアを作っているそうです。


服や小物を引き出しに収納するのが面倒な方には、引き出しではなくカゴを直接置いて、シワになる服はハンガーに、シワにならない服はカゴにそのまま入れるざっくり収納にするのも一つの方法です。


ちょっとの工夫でたくさん掛けられる快適なクローゼットに。


クローゼットの収納量を増やすブランコ収納、活用方法が想像できたでしょうか。

服の量を把握して増やさないように管理することはもちろん大切ですが、子供服のように一時的に増える物や、部屋をすっきり見せたい時には、収納スペースを増やすのもひとつのアイディアです。

衣替え等、服を見直す機会にクローゼットも見直して、ご自身やご家族が使いやすい収納を作ってみてくださいね。