掃除でムリをしない。掃除のプロが教える、体に負担をかけない、体に優しい掃除方法。

掃除のプロが、体が痛くなりにくい掃除方法を考えました。

掃除中に汚れを早くしっかり落としたくて、無理な姿勢や誤った動作をして体を痛めた経験はないでしょうか。

このちょっとした無理が、思わぬ腰痛や関節痛等、痛みのきっかけになっているのです。

また、不安定な体勢で無理に掃除をすると、バランスを崩して転倒、ケガに繋がったりもします。

掃除は無理をせず、安全に行うことが一番大切です。

 

お掃除のプロ大津たまみ先生は、しばらく前から老若男女を問わずに簡単にできる、体に負担をかけない、傷めにくい、体に優しい掃除方法を研究しています。

大津先生自身も掃除で体を痛めた経験があり、無理をせずにできる掃除方法を探してきました。

(実はこの日もその痛みを抱えながらの撮影でした)

この、無理をしない体に優しい掃除方法は、今現在体に痛みがある人や体が動かしにくい人が無理なく掃除ができる方法ですが、将来掃除で体を痛めないように予防としても取り入れていただける、どなたにもおススメの掃除方法です。

大津先生の熱意がこもった掃除方法、ぜひ参考にしてください。

「曲げない理論」で体に負担をかけない。


掃除による痛みの原因は体を曲げることだと大津先生は考えます。

掃除中に「もう少しだけ…」と無理に体を曲げることが、腰や膝等に大きな負担をかけているのです。

例えば床掃除。


膝をついて、体を丸め、力いっぱい水拭きをしないといけないと思っていませんか?

その姿勢では背中、腰、膝、肩等に負担がかかります。

大津先生は、これはもともと神社等を清めるための掃除方法なので、普通のご家庭で同じように行う必要はないと言います。

もっとラクに行っても、手抜きにはなりません、とのこと。


「曲げない理論」で体に負担をかけない。

出典:写真AC

このような必要以上に体を曲げる掃除をやめようと大津先生は「曲げない理論」での掃除をすすめます。

「曲げない理論」実践のポイント。

 

ポイント① 掃除用具の長さを調整する

低い場所を掃除する時、柄の短い掃除道具を使ってこのような体勢になっていないでしょうか。

写真のモデルは普段は体に痛みのない当店スタッフですが、撮影中はちょっと辛かったと言います。


モップやほうき、掃除機等の掃除道具を使う時は、体を曲げずに操作できるよう柄の長さを調整しましょう。

低い位置の掃除でも体を曲げずに立ったまま掃除が可能になり、腰や背中を痛めることが少なくなります。


ポイント② 体の動きを最小限にする


掃除中の動きは最小限に抑えましょう。

体をねじったり、かがんだりせず、代わりに体の位置を動かしたり、道具を変えましょう。

これにより、腰や膝への負担が減ります。

腕だけを動かす掃除でも範囲を狭めて行いましょう。

体の伸ばし過ぎも危険です。

こちらは高い場所の掃除でありがちな、危険な掃除スタイル。

(モデルは同じく当店スタッフです)


ちょっとのことだからと思って不安定な台に乗り、無理に体を伸ばして掃除。

転倒の危険も体を痛める恐れもあります。

そして、このような不安定な体勢ではしっかり汚れが落とせているかも疑わしいのです。

 

丈夫な踏み台を用意したり、道具を変えたりして、安定した体勢で、小さな動きで掃除をしましょう。


ポイント③ 作業は分担する。

高い位置の掃除や重い家具の移動等をつい自分だけで行おうとしてしまいますが、その無理が思わぬ痛みの元になりかねません。


自分ではできない場所の掃除は家族やパートナー、友人等に声を掛け、分担して行いましょう。


重い物は収納場所そのものを上から下に変えるというのも一案です。


作業は分担する。

出典:写真AC

伸縮機能付きの掃除道具を積極的に使いましょう。


体を曲げない掃除に必要なのは伸縮機能付きの掃除道具です。

次の3つは、大津先生が特に伸縮機能のある物を選んでほしいと考える道具です。

フロアーモップ


長さを調節することで体を曲げずにフローリング掃除ができます。

高い場所の掃除や遠くの床を拭く際も便利です。



ハンディモップ


家具の上や高い棚、壁、天井等、手が届きにくい場所のホコリ掃除に。

無理に体を伸ばしたり踏み台に乗ることなく、安全に掃除ができます。


掃除機

出典:写真AC

掃除機


掃除機も、パイプをしっかり伸ばして使うことで、腰や体を伸ばして掃除ができます。

家具の下や狭い隙間は、パイプを伸ばしたりノズルを交換して、体に負担をかけずに掃除が可能になります。

痛めにくくなるだけでなく、掃除もしやすくなります。


掃除道具の選び方。


掃除道具を選ぶ時は購入前に次の点をチェックしましょう。

伸縮機能付きの掃除道具は調節可能な範囲を調べましょう。

伸ばして使うために買ったのに、想定より伸びる範囲が小さく、結局辛い体勢のまま掃除をしていたのでは本末転倒です。


ご自身の身長や掃除場所に合わせて十分に伸ばせて無理なく掃除ができるか、見極めましょう。

長時間の使用でも手に負担がかからないよう、軽い物、グリップ部分が持ちやすい物を選びましょう。


また、ちゃんと汚れを落とせるか清掃能力もチェック。

汚れを落とす能力が高ければ掃除にかける時間も労力も減らせます。体への負担も減らせます。

例えば、モップの場合は適度な硬さのブラシや吸水性のある素材の物を選ぶと良いでしょう。


大津先生式の体に優しい掃除方法を実践。

フロアーモップを使った床掃除では、モップの柄をしっかり伸ばし、「曲げない理論」で、腰や背中を伸ばした状態で動けるようにしましょう。


ほんの少し前かがみになるだけでも、長時間となると痛みに繋がります。


体を丸めて雑巾で行っていた水拭きは、フロアーモップに取り付けられるウェットシートを使い、立った状態で行います。


実は大津先生は機械を使うこともやぶさかではありません。

水拭きがラクにできるロボットや手元で操作できる電動モップが市販されていますので、気になる方はチェックしてみてください。

スタッフが行っていた天井近くのホコリ取りも、伸縮するハンディモップを使えば安全かつラクに掃除ができます。

どちらがより安全で、しっかり掃除ができているか、比べてみると一目瞭然ですね。

かがんで掃除をすると腰を痛めやすい場所のひとつが浴室の床です。

こちらも「曲げない理論」で柄が伸縮するバスブラシを使って、体を伸ばした状態のままで行うようにしましょう。

 

この時大事なのが、清掃能力が高い道具を選ぶこと。

立ったままでも壁のキワの汚れまでしっかりかき出せるブラシだと、一度で隅々まで掃除ができ、掃除自体がラクになります。

(写真では「伸縮柄付 角効くバスブラシ 浴室(壁面・床面・天井)用」を使用)

ラクな体勢できれいにお掃除を。


「毎日何気なく行っている掃除でも、動き方を少し工夫するだけで体への負担を大幅に減らせます」と大津先生は言います。

工夫はふたつ。


① 短時間に区切って行いましょう。


時間をかけてまとめて掃除をしようとすると体に負担がかかります。

1回の掃除時間を短くして複数回に分けて行い、負担を軽くしましょう。

小まめに掃除をすることで汚れもたまりにくくなり、掃除自体がラクになります。


② 同じ動作を連続して行うのは避けましょう。


同じ動作を続けると体の特定の部位に負担がかかりやすくなります。

動作や動かす方向を変えて体全体をバランス良く使いましょう。


例えば家のホコリ掃除をする際に、高い場所のホコリを体を伸ばして一気に行うのではなく、1か所ホコリ掃除を終えたら伸びた体を戻して、手元に力を入れる机の上のホコリ掃除をするというように、別の動きを組み合わせましょう。

間違っても、写真の大津先生のように、効率的に早く掃除をしようとして、左手で高い所のホコリ掃除、右手で低い所のホコリ拭き、のような無理な体勢で無理な動き方をする掃除をしてはいけません。



大津先生、痛みを押しての撮影、ありがとうございました。

大津先生、痛みを押しての撮影、ありがとうございました。

掃除のプロ大津先生がご自身の体験を踏まえて検証した、体を痛めにくい掃除方法をご紹介しました。

実際に掃除をする際は参考にしていただきながら、自分の体の声を聞いて、自分の体に負担にならない、無理のない動き方を考えて行っていただければと思います。