洗濯の基本を知って、大切な衣類を汚れやシミから守ろう。

出典:写真AC
普通に洗濯しただけでは落ちにくいガンコな汚れ。
例えば、コーヒーやワイン、油、泥、血液、口紅等の化粧品、ボールペンのインク等々。
うっかり衣類についてしまったら「落ちないかも?シミになってしまうかも?」と少し憂うつになってしまいます。
でも大丈夫です。ちゃんと落とす方法があります。
「ガンコな汚れでも洗濯の基本に戻ると落としやすいですよ」と家事のプロ、山口かな先生は言います。
山口先生がポイントにする洗濯の基本は3つ。
1:汚れはその日のうちに落とす。
2:汚れの種類を見極めて洗う。
3:多めの水で洗う。
以前は洗濯に対して苦手意識のあった山口先生も、この基本を意識したらガンコ汚れも落とせるようになり、苦手意識も減ったそうです。
洗い方のポイントと、汚れの種類別の洗濯方法をご紹介します。
洗濯でお悩みの方、ぜひ一度お試しください。
※洗濯前には必ず衣類の洗濯表示を確認し、それを守って洗ってください。
基本1:汚れはその日のうちに落とす。
衣類に汚れがついてしまったら、その瞬間からが勝負です。
汚れは時が経てば経つほどシミに近づいていきます。ガンコな汚れやシミになる前に落とすのが洗濯の基本。
汚れたらできるだけその場で応急処置をして、可能な限りその日のうちに洗濯をしましょう。
汚れの応急処置の仕方

外出先であれ自宅であれ、汚れがついてしまったらまずは速やかに汚れを取り除きます。
固形物を取り除き、液体は乾いた布やティッシュ等で吸い取ります。

次にきれいな布を水で濡らし、布の下に手を当てたり布を置いたりして下に移らないようにしてから、トントンと軽くたたくようにして汚れを落とします。
こすると汚れが広がったり生地を傷めてしまうので、こすらないようにしましょう。
外出先では使い捨てのおしぼりや除菌作用のあるウェットティッシュ等が手元にあるかもしれませんが、これらには汚れを落としにくくしてしまう物質が含まれていることがあります。
使用は避け、あくまで水で濡らして、軽くトントンとしましょう。
この後は、汚れの種類に応じた洗濯をしていきます。
基本2:汚れの種類を見極めて洗う。
汚れには種類があります。
汚れを分析してその種類に合った落とし方ができれば、クリーニング店にシミ抜きをお願いすることも減ります。
山口先生によると、汚れの種類は大きくわけると3つと1つです。
① 油性の汚れ
② 水溶性の汚れ
③ 不溶性(油にも水にも溶けない)の汚れ
そして、それぞれが混ざりあった、混合の汚れです。

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①油性の汚れの落とし方
油性の汚れとは、化粧品(口紅やファンデーション)、ボールペンのインク、絵の具、チョコレート、ソース等の“油分の多い汚れ”のこと。
これらは洗濯機で洗う前に、「予洗い液」で前処理や予洗いをします。

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「予洗い液」の作り方と使い方
「予洗い液」は洗濯用洗剤を水で薄めた物で、汚れが目立つシャツの襟や袖口に洗濯の前にスプレーして使います。
繊維の奥に残る汚れを浮かし、落としやすくします。

<作り方>
スプレー容器を用意し、洗濯用洗剤(弱アルカリ性)と水道水を1対1の同量入れ、軽く振って混ぜます。
これで完成です。
1週間を目途に使いきるようにしましょう。

<使い方>
汚れ全体にまんべんなく吹きつけます。
気になる汚れにはさらに2~3回、多めにシュッシュッとします。
15分ほどおいたら、そのまま、洗濯機でいつも通りに洗います。
繊維の奥の汚れが浮き上がった状態なので、汚れも落ちやすくなっています。
山口先生は、時間がない時は、夜寝る前に予洗いが必要な衣類に予洗い液をシュッシュッとしておいて、翌朝ほかの物と一緒に、普段通りの洗濯をして洗濯の手間を減らしているそうです。

汚れが酷いときはブラシも使うといいでしょう。
予洗い液を吹きつけた後、歯ブラシ、もしくは洗濯用ブラシを使い、汚れを浮かすイメージでトントンと上からたたきます。
この時も、こすると生地が傷むので、あくまで軽くトントンとします。
これだけの手間で、ガンコな汚れが落ちやすくなります。

山口先生のお気に入りの洗濯ブラシ
洗濯ブラシは洗濯に特化したブラシです。
歯ブラシでも代用はできますが、専用ブラシだけあって汚れが落としやすいそう。
山口先生も「洗濯をおっくうに感じる時でもお気に入りのブラシがあればモチベーションが上がります。お気に入りを持っておくのはおすすめですよ」とアドバイス。
②水溶性の汚れの落とし方
水溶性の汚れとは、コーヒーやしょう油、赤ワイン、牛乳、卵、血液のような“水分の多い汚れ”のこと。
基本的には水洗いで落とせます。

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汚れがついてしまったら、まず応急処置として少量の水ですすいで落としましょう。
水が使えなければ、乾いた布やティッシュペーパーで汚れの水分を取ります。
こすると汚れが広がるので、軽く押さえるようにして取ります。
この時も、おしぼり、特に除菌作用のある物を使ってしまうと汚れが落ちにくくなってしまうことがあるので、使用を避けてください。

その後、予洗いをします。
40℃くらいの湯に予洗い液を入れ、汚れた部分をもみ洗いします。
使用量の目安は、水1リットルに対して予洗い液は50ミリリットルほどです。
ただし、血液はぬるま湯を使うと凝固してしまうので、常温の水を使って洗いましょう。
その後は軽くすすいでから普通に洗濯をします。
③不溶性の汚れの落とし方
不溶性の汚れとは、泥、砂、ホコリのような “油にも水にも溶けない汚れ”のこと。
細かな汚れは繊維の中に入り込んで落としにくい汚れになってしまうことがあります。
この汚れは、
1.洗濯用洗剤(弱アルカリ性)で予洗いをする
2.粉末の洗濯用石けんを溶かしてつけおきをする
という二段階の予洗いが効果的です。

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汚れてしまったらまずは応急処置。
汚れの部分に予洗い液を塗布してしばらくおきます。
時間は汚れの種類によって異なりますが、泥汚れなら5分ほど、油汚れなら10~15分ほどが目安です。
汚れが目立つところはブラシでトントンとしておきます。

次に、バケツに40℃くらいのお湯を入れ、洗濯用の粉末洗剤をパッケージの記載に沿って規定量を溶かし 、30分~1時間ほどつけおきをします。
予洗い液を洗い流さず、そのままつけて大丈夫です。
山口先生は粉末の洗濯用石けんの方が洗浄力が強く感じるので、必要に応じて使い分けているそうです 。
落ちない汚れがある時は、つけこんでいる間にもみ洗いをしてみましょう。

つけおきが終わったら、洗濯機で3分弱脱水をします。
その後は、洗濯機で通常通りの洗濯をします。
④混合汚れの落とし方
最後に、様々な汚れが混ざった、混合の汚れの落とし方です。
この汚れにも種類があります。
ソース やカレー、ドレッシングのような“油性の汚れと水溶性の汚れが混ざった汚れ”は、油性の汚れを予洗い液で落とした後、水性の汚れを水洗いで落とします。
落とし方は上記を参照ください。
自転車のチェーンの油とホコリが混ざったり、ガムが付着したような、“油性の汚れと不溶性の汚れが混ざった汚れ”は、不溶性の汚れを落とすのと同じ手順で落とします。

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ちなみに、落としにくい汚れの代表の「カレー」がついてしまった場合は、 まずは食器用洗剤を汚れに塗布。
10~15分ほど置いてから流します。
そのあとは上記の洗い方と同じ。予洗い液を汚れに塗布し、軽くもみ洗いをしたのち、洗濯機で洗うと良いとのこと。
また、白い衣類についた汚れは、酸素系漂白剤をぬるま湯に溶かし、30分ほどつけおいてから洗濯をすると、繊維の汚れも落ちやすくなるそうです。
衣類や汚れによって落とし方が異なりますので、まずは洗濯表示をよく見て、目立たないところで試しながら落としていきましょう。
基本3:多めの水で洗う。
汚れがひどい物を洗う時に、しっかり落とそうと思って洗剤の量を増やしていませんか。
実は洗濯の基本から考えると、それは逆効果になりかねません。
洗剤の量が増えると洗剤の濃度は高くなりますが、水量が通常と変わらなければ、すすぎきれずに衣類に洗剤や汚れが残ってしまいます。
また、水量が少ないと洗濯中に汚れが繊維からしっかり浮かび上がりません。
せっかく繊維から離れた汚れも、再び付着して繊維に戻ってしまいます。
ちゃんと洗濯をしても汚れやニオイが落ちない、黄ばみや黒ずみが気になるなど、汚れ落ちに満足できない場合は水の量を増やしてみましょう。

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気持ち良いお洗濯のために、基本をもう一度。
どう対処していいかわからない汚れがついてしまった時は、洗濯の基本を思い出してみてください。
1:汚れはその日のうちに落とす。
2:汚れの種類を見極めて洗う。
3:多めの水で洗う。
家事のプロの知恵を借りてガンコな汚れを落とし、シミになる前にきれいにしましょう。
せっかく洗濯をしたのに思うように汚れが落ちていないと、洗濯を苦手に感じて、嫌いになってしまいますよね。
これは洗濯に限らず、掃除も洗濯も、家事全般に共通です。
毎日の家事は時にとても面倒ですが、嫌いになりすぎないために、家事のプロのコツを学んで真似していきましょう。
掃除や家事の負担を軽くして早く終わらせて、楽しい時間やリラックス時間を増やせるといいですね。