「消費期限切れのもったいない」をなくすために考えたルール。
冷蔵庫の中で食材が消費期限切れになってしまった。干からびた野菜を発見してしまった。
冷蔵庫から出し入れをする時は毎回パズルを解くように探し物をしている。
トレーを使ったり、詰め替えたり、ラベリングをしたりと様々な収納方法を真似してみたけどうまくできず、元に戻ってしまった。
今回は、そんな冷蔵庫の収納や整理に苦手意識がある方にこそ挑戦していただきたい方法をご紹介します。
片付けのプロ、稲村美由起先生が考えて実践している「消費期限切れの食品・食品ロスをなくす」ことにポイントを絞った収納方法です。
とてもシンプルで、冷蔵庫の上から収納し、消費期限が近付いたら下に移動させるというもの。
一度身についてしまえば冷蔵庫がうまく使えるようになり、もったいない思いをした食品ロスも減り、結果として献立作りも買い物もラクになったと言います。
新しい視点で冷蔵庫収納に挑戦してみませんか?
食材を移動させて、おいしく食べ切れるように。
冷蔵庫の中は区切って縦に使う。
こちらが稲村家の冷蔵庫。
大人の2人暮らしということもあり、余裕のある使い方をされています。
稲村先生はこの冷蔵庫を上段・中段・下段と3つに区切り、次のようなルールで食材を収納しています。
①上段:未開封の食材。買ったばかりの食材。
②中段:開封した食材。作りおきのおかず。使いかけの野菜。
③下段:消費期限が近い食材。今日食べる食材。大きな物。冷凍食材の解凍場所。
冷蔵庫に入れる時のルール。
この冷蔵庫の運用ルールは次の通りです。
《ステップ1》
買ってきた食材は基本的に①の上段へ入れます。
肉や魚等の生鮮食品はその日使う物を最下段にあるチルド室に入れ、買い置き分はトレーから外して冷凍室へ。
野菜は野菜室へ。
大きな物(高さがあり最上段に入らない物。フルーツ等)があれば、例外的に③に入れます。
《ステップ2》
①の食材のうち、使い始めた物や一度で使いきれなかった物は冷蔵庫に戻す時にひとつ下の②の中段に入れます。
《ステップ3》
消費期限が近づいてきた物、早く使い切りたい物は③の下段に移し、積極的に消費します。
このように、消費期限が近づくにつれて食材を下に移していきます。
③の下段は冷蔵庫を開けた時に最初に目が行く場所です。
ここに使い切りたい物を集めることで、消費期限切れや食品ロスを防げるようになります。
稲村先生は、このルールにしてからは開封前の食材、開封済みの食材、優先的に消費するべき食材がわかりやすくなり、消費期限切れや食品ロスを防げるようになったそうです。
「使いかけの野菜用カゴ」を作ろう。
このルールで稲村先生がした工夫の一つが、②の中段に作った「使いかけの野菜用カゴ」です。
使いかけの野菜を野菜室に戻すと、なぜか野菜室の中で行方不明になってしまい、数日後にしなっとした状態で発見されること、ありませんか。
これを防ぐために、稲村先生は野菜を使い始めたら野菜室に戻さないことにしました。
ニンジン半分、玉ねぎ半分等、種類ごとに袋に入れ、カゴにまとめて冷蔵庫に入れます。
カゴを引き出せば残っている野菜が一目でわかります。
おかげでこれらを優先的に献立に活かして、野菜をムダなくおいしく食べ切れるようになりました。
いかがでしょうか。まずはこの、移動させる収納方法から取り組んでみませんか。
もっと使いやすくするためのルール。
これ以外にも、稲村先生が実行している冷蔵庫が使いやすくなるルールをご紹介します。
左右で使い分け。
稲村家の冷蔵庫は左右に開くフレンチドア(観音開き)タイプですが、左側に壁があるために右側の方が開けやすく、使いやすくなっています。
そのため、冷蔵庫の中も左右で使い分けています。
開けやすい右側は「アクティブゾーン」として、生活の中で食べ切っていく食材をメインに置いています。
上でご紹介した、使い始めたら下ろしていく食材は主に右側に置きます。
使いにくさを感じる左側は「ストックゾーン」として、味噌、梅干し、卓上用醤油等の定番食材の定位置にしています。冷蔵で保存したい物(ビール等)もここに置いています。
左側の下段は出し入れがしづらい場所ですが、稲村先生はここに小分けにした粉物や調味料の残りを置いています。
開封し小分けが終わった調味料等は、開封日を書き、ここのカゴへ。
引き出した時に在庫も開封日も一度に見られるちょうど良い高さで、頻繁に出し入れしないけれど冷蔵保存しておきたい物の置き場として適しています。
ドアポケットも左右で使い分け。
ドアポケットも、調理中によく使う物を右、出番が少なめな物を左と分けて使っています。
右側のドアポケットの上段と中段には定番の調味料(小分けにした顆粒だし、スパイス類、片栗粉、乾燥ワカメ、ゴマ等)、下段にはドリンク類、しょう油、マヨネーズ、ケチャップ等を。
左側のポケットには、右側に比べて使用頻度が低い物、メニューによっては使うような調味料(ポン酢しょう油、麺つゆ、豆板醤、オイスターソース、お好み焼きソース、しょうが・わさび・マスタード等のチューブ類)を置いています。
これらにも開封日を記入し、風味を損なわないうちに使い切れるようにしています。
”しないこと”もルール化。
冷蔵庫を使いやすくするために、 “しないこと”もルール化しています。
1)食材は奥まで詰め込まない。
冷蔵庫を開けた時に全ての食材に目が届くように、食材は奥まで詰め込まないことにしています。
2列までなら並べても見えるので、並べるのは2列まで。
ブックエンド等で立てて、何があるか見てすぐわかるようにしています。
また、特別な物を除いてカゴは使いません。
確かにカゴを使うと奥までたくさん収納できますが、中身を確認するために毎回カゴを引き出さないといけないので、それは自分には向いていないと判断し、使っていないそうです。
2)中央に物を置かない。
下段の中央、一番物を置きやすい場所は大きく空けたままにし、食材の定位置にしないようにしています。
ここは棚板のつけ外しが自由にできるので、必要な時以外は棚板を外しておき、大きな物(鍋ごとのカレー、ドアポケットに収まらない瓶やボトル、ケーキの箱等)、作り置きの数日で食べ切ってしまいたい物、いただき物、一時的に買い込んだ物等を入れられるようしてあります。
また、ステンレスバットを置き、その日に使う冷凍の生鮮食品の解凍場所にしています。
3)大量に買い込まない。
買物は週に1~2回の稲村先生。
日常の食材は次の買物日までに使い切れる量を購入し、冷蔵庫に入れています。
食品ロスを防ぐためにも、必要以上に買わないことにしています。
缶ビール等冷蔵庫で冷やしておきたい飲み物も、1~2日で消費する分のみを左側のストックゾーンで冷やします。飲んだら補充するスタイルで、スペースを節約します。
家族に合った、使い勝手の良い冷蔵庫に。
入れ方のルールが固まるまでは試行錯誤が続きますが、決まってからは使いやすく、便利になったと稲村先生は言います。
すっかり慣れた今では、食品ロスの減少以外にも次のような良いことがあるそうです。
- 何がどこにあるかが一目でわかるので、ワンアクションで取り出せる。
- 扉の開閉時間が短縮されるので冷気が逃げない。
- 詰めすぎないので冷気が行き渡り、電気代も節約。
- 使うべき食材がわかるので献立を立てやすくなった。
- 在庫が一目でわかるのでムダ買い、二重買いが減った。
- 開封した粉類の保存食品と日々消費する食品を分けることで在庫確認がしやすい。
- スペースに余裕があるので、いただき物も余裕をもって収納できる。
稲村家では、冷蔵庫の収納量の目安を5割としているそうです。
これが、稲村先生が冷蔵庫を開けた時に一度で見渡せる量、つまり管理できる量であり、二人家族の適量と考えるからです。
もちろん、家族構成によって適量は変わります。
一般的に、冷蔵庫の適正収納量は7割と言われていますので、それを意識しつつ、今回のルールを参考にして、ご家庭に合ったおいしく食べきれる冷蔵庫のルールを作ってみてくださいね。