毎日がもっと豊かに、うれしくなる

おいしいは、畑から

野菜の皮やへたは、もう捨てない

「ベジブロス」で楽しむ黄金色のスープ



「ベジブロス」とは、ベジタブル(野菜)のブロス(だし)のこと。

野菜くずを無駄なく使ってつくるだしが、SDGsの機運にのって注目を集めています。

だしの取り方も簡単で「こんなにも滋味豊かなだしが取れるなんて」ときっと驚くはず。


料理家のtakiさんが教えてくれたベジブロスの黄金スープで、野菜の栄養を丸ごといただきましょう。




野菜くずから驚きのうまみ

黄金色のコツは玉ねぎの皮


野菜の皮やへたをざくざく切り落とすと、「あ、もったいない」と指摘されるほど、SDGsブーム到来のわが家。

もっと無駄なく使い切りたいと思っていたら、料理家のtakiさんが、切れ端までおいしく食べ尽くす『ベジブロス』を教えてくれました。


「ベジブロスは野菜だけで取るだしのこと。目新しいものではなく、西洋料理ではおなじみの手法です。野菜くずと水だけで簡単にできますし、何より野菜だけで取るおだしって本当においしんですよ」(takiさん)。


一期一会の味わいに出会えるのも面白いのだそう。

「野菜によって毎回こんなに味が変わるのって驚くくらいで、いつものコンソメ味を変えたい時におすすめです。玉ねぎの皮はマストで入れてくださいね。美しい黄金色のスープが取れますよ。」




鍋に野菜くずと水を入れ

30分コトコト煮るだけ



洋食のだしを取るのは面倒なイメージがありますが、ベジブロスの手順はいたってシンプル。

鍋に水と少量のお酒、野菜くずを入れて、コトコト煮るだけです。


「最初は鍋にフタをして弱火で始め、表面がふつふつと沸騰してきたらフタを外して弱火で煮込み続けます。強火にすると野菜が溶けてしまうので、必ず弱火をキープしてください。」(takiさん)。

30分ほど煮込んでだしが美しい黄金色になったら、ベジブロスの出来上がりです。


野菜くずは保存がきかないため、その日に使う野菜をベジブロスにするのがベスト。

コンロ一口でOKなので、他の料理と同時進行しながらおいしいだしをつくってみましょう。


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基本は煮込むだけ。あくを取る必要はありません

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だしが黄金色に色づいたら完成。

野菜くずが溶けないよう強火は厳禁です



塩だけで、深みのある味わい

カレーや炊き込みご飯のベースにも



ベジブロスは野菜の風味と栄養価がたっぷり溶け出しているので、塩を足すだけでおいしいスープとして楽しめます。

ご紹介するレシピでは、実の部分をスープの具材として使うため、食べ応えもたっぷり。

具材は角切りにしてオリーブオイルで炒めるひと手間で、上品なコクも加わります。


余ったら、和洋食だしとしても最適です。

炊き込みごはんのだしやカレー、お味噌汁に入れる水をベジブロスに変えれば、野菜の甘みや香りがふわり。


「ベジブロスは冷凍保存が可能で、製氷皿で小分けにしておくと使いやすいです。冷凍後は2週間以内に使い切ってくださいね。」(takiさん)


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煮込んだ後、野菜くずを濾して使います


Column



おいしさのポイント

ベジブロスに

向いている野菜、適さない野菜



色やにおいが少ない野菜の方がやさしい味わいになるそうですが、「しょうがの皮やなすのへたを、少量加えてみるとおいしくなりました。」とtakiさん。

お気に入りの組み合わせを見つけるのも醍醐味です。


逆に、野菜本来の味が引き出されるため、個性が強すぎる野菜は避けた方が無難だそう。


「キャベツやブロッコリー、カリフラワーといったアブラナ科の野菜は、えぐみが出やすいのでおすすめしません。アクの強い野菜も大量に入れない方がよく、例えばなすはへただけにした方がいいですね。残留農薬がどうしても気になる方は、無農薬野菜を手に入れたり、家庭菜園でつくった野菜で楽しんでみてください。」


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使う野菜は土をしっかりと落とし、丁寧に洗います




おすすめアイテム

無水調理、煮る、蒸す、焼くと万能

「レジェロ」は普段使いにぴったり



ベジブロスは大きく沸騰させず、弱火でじっくりとうまみ成分を抽出させるのがコツです。

今回はtakiさんに、入荷待ちとなるほど人気の高い「無水調理鍋 Leggiero(レジェロ)」で調理していただきました。

使い勝手や仕上がりの違いはいかがでしたか?


「熱伝導率が高いので、思ったよりも早く沸騰してびっくりしました。手持ちの鍋より短時間できれいな色のベジブロスができました。」(takiさん)


レジェロの幅広い使い勝手にも興味津々です。

「スープの具材を炒めることもでき、今回のスープの全工程がこの鍋ひとつで完了。火力を強くして野菜を炒めましたが、焦げ付きもなく、透き通るスープに仕上がりました。片付ける時も軽い上にさっと洗うだけで汚れがきれいに落ち、手軽に使える両手鍋だと思います。見た目もおしゃれで、鍋ごと食卓に出しても映えますよね。」


Recipe



ベジブロスで楽しむ、食べる野菜スープ (5~6人前)

材料


■ベジブロス


  • 水 1.5ℓ
  • 酒 大さじ3
  • 玉ねぎ(皮) 2個分
  • しいたけ(いしづき) 8個分
  • なす(へた) 2本分
  • セロリ(葉と細い茎) 1本分
  • にんじん(皮とへた) 1本分
  • しょうが(皮) 2個分



■食べる野菜スープ


  • 皮やへたを除いた上記の野菜(実の部分)
  • エキストラバージンオリーブオイル 大さじ3
  • 塩 小さじ2と1/2
  • ブラックペッパー 適量

手順


■ベジブロス


①野菜はしっかりと水洗いし、しいたけは汚れをふき取る。野菜に土が付いていたら、しっかりと落とす。

②皮やへたと水、酒を無水鍋に入れて、弱火にかける。

③最初はフタをし、表面がふつふつと沸騰してきたらフタを外して弱火で30分煮込む。

※火が強すぎると野菜の皮が溶けてしまうため、必ず弱火で煮込むのがコツ。

④スープがきれいな黄金色に色づいたら、ザルで野菜くずを濾してベジブロスの完成。



■食べる野菜スープ


①皮やへたを取り除いた野菜は、スープの具材として活用。野菜をすべて角切りにし、しょうがはみじん切りにする。

②鍋にエキストラバージンオリーブオイルを入れ、先にしょうが、玉ねぎ、にんじん、セロリを入れて中火で炒める。

③玉ねぎが透き通ってきたら、なす、しいたけを入れてさっと炒める。濾したベジブロスと塩・ブラックペッパーを入れて味を調え、フタを取って弱火で15分煮る。

④塩味が足りなければ、最後に塩(分量外)で味を調整して完成。


監修者プロフィール

料理家 taki


調理師資格を取得後、おべんとう屋の開業を経て、生産者と食べ手をつなぐ料理家に転身。⼤切に育てられた⾷材の魅力を伝えるレシピを日々発信している。

https://www.instagram.com/takinogohan

ライタープロフィール


森野 史江


ライター・編集、宅地建物取引士。出版社の編集を経てフリーに。食や住、教育、医療など、暮らしに寄り添う記事制作・取材に取り組んでいる。


2022.6.16


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