あなたのキッチンはあなたが一番使いやすいキッチンですか?

キッチンはもともと収納スペースが少ない上に、形や大きさが不揃いなキッチンツールがあって片付けがしにくい場所、と、お掃除と片付けのプロ大津たまみ先生は言います。
確かに、どことなく使いづらさを感じながら日々使い続けている気がしませんか。
そんな制限が多いキッチンの中でも場所を取っているのが、時々しか使わない物たち。
中でも大津先生が「憧れ買い」と呼ぶ、憧れて買ったキッチンアイテム達が実際は使いにくくて、収納棚の奥で座ったままになっていることがよくあるそうです。
値が張ったり思い入れが強かっただけに手放す決心がつきにくいのですが、そのままにしていては使いやすいいキッチンにはなりません。
「あなたのキッチンはあなたが心地よいと思うようにするのが一番です。使いにくいなと思ったら、迷わず、ためらわず、大胆に変えていきましょう。ちょっと違うなと思ったら何度でも変えればいいんです!」
大津先生は熱いメッセージを送ります。
今回はお掃除と片付けのプロが実践しているキッチンの収納のアイデアをご紹介。
一緒に自分にとって本当に使いやすいキッチンを考えてみませんか?
キッチンや収納が使いづらいと感じたら見直したいこと。
キッチンが使いづらいなと感じたら、なぜ使いづらいのか、次の3つのチェックをしてみましょう。
食器棚のサイズは今のキッチンに合っていますか?
特に引っ越した後に見られるケースですが、前の家で使っていたラックや棚をそのまま使っているために新しいキッチンに合っていないことがあります。
キッチンのスペースに対して家具が大きすぎたり、小さすぎたり。棚に物が入りきらずにあふれていたり、場所をふさいで動きにくかったりするご家庭が意外に多いそう。
使いにくいと感じたら、家具の見直しや買い直しも考えてみましょう。

出典:写真AC
収納している物は今使っている物ですか?
冒頭の「憧れ買い」のアイテムだけではありません。
家族が今はもう使っていない物がキッチンに収納されていませんか?
大津先生が見かけた物で、お子さんが小さい時に使っていたかき氷器、運動会で使ったお重、学生時代の弁当箱…もう使わないけど手放せずにいる物が、長い間キッチンに置かれていることが多々あったそうです。
処分する物、思い出として取っておく物に分け、一旦キッチンから出しましょう。
キッチンには今の生活で使う物だけを置きましょう。

出典:写真AC
「てきぱきスペース」をうまく使えていますか?
人間工学的に物が取り出しやすくて戻しやすい場所のことを「てきぱきスペース」と大津先生は呼んでいます。

下は腕を降ろした時の手首の位置から、上は正面を向いた状態で視線を10cmほど上げた位置まで。
人によりますが、床から75cm~135cmの60cmくらいの空間が「てきぱきスペース」です。
このエリアに一番よく使う物が集まっていますか?
収納は戻しにくいとすぐにリバウンドしてしまうので、入れ方よりも戻しやすさを考えながら、このスペースに納めてみましょう。
取り入れたい、片付けのプロの5つの収納アイデア。
①調理器具は「レギュラー」を厳選する。
調理器具は「レギュラー」と「その他」に分けます。

レギュラー用引き出し

その他用引き出し
普段使う「レギュラー」は、てきぱきスペース内にある引き出しに収納します。
上は大津家のレギュラー調理器具。
使用頻度の高い物を厳選し、戻しやすいようにスペースに余裕を持たせています。
「おたま3つ、しゃもじ5つ、ハサミ2本、菜箸10本とまとめて入っている引き出しに出会いますが、全部使うわけではありませんよね。よく使う物、一番使いやすい物に絞りましょう」と大津先生。
あまり使わない「その他」の物は、てきぱきスペースの外にある引き出し等に入れます。
大津家の場合は最下段の引き出しの左半分がそのスペース。
普段は使わないしゃもじやアイスクリーム用のスクープ、予備のれんげ等が袋に入って納められています。
同じ用途の物で新品と使用中の物が混在している場合は、ひとまず新品を「レギュラー」へ。
以前使っていた物の方が使いやすく、「その他」から出して使うことが多いようなら「レギュラー」に戻します。
新品でも使いにくいと感じれば迷わずに「その他」へ。
「その他」は時々見直して整理し、手放していけると良いですね。

レギュラー陣は吊るす収納もおすすめですが、できればコンロから離れた場所に吊るしましょう。
コンロまわりはてきぱきスペースなのですが、調理時の油が付着する残念な場所でもあります。
使用前に毎回油とホコリでベタついたツールを洗わないといけなくなるので、より使いやすい吊るし場所を探してみましょう。
②特別な時に使う物は「おまとめボックス」へ。
時々使う物は用途ごとにまとめた「おまとめボックス」を作りましょう。
大津家では、お菓子作りのアイテムをまとめた「お菓子作り用おまとめボックス」、来客用の茶器を入れた「お客様用おまとめボックス」、掃除道具用のおまとめボックスがあります。
他にも、お弁当作り用ボックス、レシピ本をまとめたボックスなども作ったことがあるそう。
これらをてきぱきスペースの外にある場所に納めています。
まとまっていると取り出しやすいだけでなく、収納場所の掃除の際も便利です。

(左)お客様用ボックス(右)お菓子作り用ボックス

掃除道具のおまとめボックス
③冷蔵庫の側面を活用する。
すぐに使いたい物は冷蔵庫の側面にマグネット等で貼っていきましょう。

大津家にはキッチンペーパー、輪ゴム、ラップ、タイマー等が貼ってあります。
重宝するのがペンとメモ(黄色いフセン)。
思い出した時にサッと書けるので、買物メモにすれば買い忘れやムダ買いが減り、節約にもなります。
大津先生のポイントは正面を避けて側面に貼ること。
正面はスッキリと美しく見えるようにしておきましょう。
④扉の裏も活用。

シンク下を始め、収納の扉裏も貴重な収納スペースです。
ここに包丁立てやツールかけが作りつけになっているキッチンも多いですね。
空いている場合はここに細かい物をかけて収納しましょう。
薄くて軽い物、スポンジや輪ゴムなどがおすすめです。
キッチンではてきぱきスペースに当たる場所の多くは調理スペースになっており、収納に使えるスペースが少ないです。
そこで大津先生は「サブてきぱきスペース」を提案。
手を下げた状態で少ししゃがんで届く場所が「サブてきぱきスペース」に当たります。
ちょうど開き戸の内側がその位置。
ぱっと使いたい物をかけておくと便利です。

⑤家事動線を考えた収納作り。

家事がスムーズに終わるように、関連する物をまとめて置いておくのもアイデアのひとつです。
例えばゴミ箱。
ゴミ箱の前面や側面、内側にストックのゴミ袋を置いておけば、少ない動きでゴミをまとめて袋を換えられます。
何度もする家事ほど最短・最小の動きを考えると、使いやすいキッチンになっていきます。
定期的に見直して、さらに使いやすいキッチンに
いろんな方法を真似てもキッチンの収納がうまくいかなかったという方に、大津先生が伝えたいことがあります。
「雑誌やテレビ等で提案される収納方法もいいのですが、自分で試行錯誤を繰り返しながら、自分のために作るキッチンの方が断然使いやすくなります」
収納は家庭によって異なるのが当たり前です。
その家庭も、家族のメンバーや成長によって変化しますし、自然に使いやすさも変わっていきます。
定期的に冒頭の3つのチェックをして、使い勝手が悪いなと感じたら躊躇なく変更しましょう。
変えてみて、前の方が良かったな、なんてことも当たり前。また別の方法を考えればいいのです。
自分が使いやすい、自分にとって一番機能的なキッチンを、自由に、楽しんで作っていきませんか。