家事分担の悩みを解決する方法は?
家庭内の家事分担はいつも悩みの種です。
「働き方改革等と言われても、現実は女性の負担の方が圧倒的に多いんですよね」と言うのは、大手企業で5Sのインストラクターも務めている、お掃除のプロ大津たまみ先生。
先生は家事分担をスムーズに行うために、企業等でなじみのある5Sを取り入れることを提案。
家事を業務として捉えることで、男性も主体的に取り組みやすくなるのでは、と言います。
「一度でできるようにはなりません。
まずはどれだけの家事があるのかを理解してもらうところから始めましょう」
5Sとは?
5Sとは製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるメソッド。各職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたもの職場の管理の基盤づくりの活動で、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字の5つの「S」をとったもの。
家事分担はチェックリストで「見える化」
本来5Sは、企業やプロジェクトのメンバー全員でひとつの目的を効率的に達成するために行うもの。
家庭でもなぜ家事の分担をするのかを全員で認識した上で活用するとより効果的です。
家事分担は次の順番で行い、ルーティン化し、定着させていきます。
- 役割表を作り分担を決める
- 家事を行う
- 完了をチェック(確認)する
- 感謝を伝える
5Sでは清掃場所や整頓項目をチェックリスト化していますが、家事にもこれを取り入れ「見える化」しましょう。
家事の全体量を把握し、実行されたかどうかがわかるようになります。
(1)役割表を作り分担を決める
まずは家事をすべてリストアップします。
自分が何気なく行っている家事でも負担に思うものはリスト化しましょう。
役割分担表には「何を・いつ・誰が・どのように」行うかを記入します。
両親と小学生の男の子がいる3人家族の設定で作ってみました。
分担表を作る時のポイント
- 1週間単位で作る
- チェック欄を作る
- 曜日ごとに家事を割りふる
- 分担は話し合って決める
家事分担を決める際は必ず話し合いをし、担当者が納得していることが重要です。
得意な人がその家事を行うようにするのが、家事分担が長く続くコツです。
例えば、ゴミ出しは力がある人、窓掃除は背が高い人、風呂掃除は細かい作業が得意な人や凝り性な人、料理は好きな人か早く帰る人、のようにです。
「『パパは細かいところまでよく見えるから、お風呂もピカピカにしてくれると思うけど、どう?』とおだててやる気を出させることもポイントです」と大津先生。
家事の内容と分担の理由を理解すれば、自発的に取り組みやすくなります。
また、いつ行ってもよい家事は後回しにならないよう、一旦曜日と担当者を決めます。
子どもも家事に参加を
お子さんがいる家庭ではお子さんにも参加してもらいましょう。
大津先生はトイレ掃除を勧めます。
子どもが掃除しやすい高さにあり、汚れがわかりやすいので掃除がしやすく、きれいになったこともわかりやすいからです。
掃除後は、達成感があり、家族の役に立てた満足感、ほめられることでの自己肯定感等を感じられます。
作ったリストは家族が目にしやすい場所に貼ります。
守られなかったときのペナルティーを決めておくと強制力がつくので、取り入れてみてはいかがでしょう。
(2)家事を行う
家族が家事を行っている間はマネージャーの視点で見守りましょう。
「自分のやり方と違うと声をかけたくなりますが、そこはがんばってガマンしてください」と大津先生。
家事分担を定着させるために担当者のやり方を尊重します。
改善が必要な場合だけ少しアドバイスし、あとは本人が主体的に行うようになるのを待ちましょう。
(3)完了のチェック(確認)をする
家事が終わったらリストに従って確認をし、完了のマークを記入します。
完了確認をすると自分の業務を承認されたことになり、今後も続けようという気持ちが芽生えます。
(4)感謝を伝える
「家事をしてくれたことの感謝を伝えるのはとても大切です。『ありがとう』と一言でいいので、ねぎらいましょう」と大津先生。
やって当たり前と思ってしまうとそれは相手に伝わってしまうもの。
やる気をキープするためにも感謝を伝えましょう。
「家族会議」を習慣にしよう
最後に大津先生は、家事分担に欠かせない、家族で話し合う「家族会議」の大切さをこう話しました。
「家事を分担する意識を持つと、家事が重労働であることに家族全員が気がつくようになります。
分担を決める時もなぜ大変か、なぜその場所の担当になるのか等を事前に話すと納得してもらいやすくなります。
その上で、本人が得意とする家事を中心に、話し合って決めるとスムーズです。
そして、なによりも感謝の気持ちをしっかりと家族間で伝え合っていきましょう」