セスキ炭酸ソーダのこと、知っていますか?
ナチュラルなお掃除、エコ掃除の洗剤と言えば「重曹」と「クエン酸」、そして「セスキ炭酸ソーダ」、通称「セスキ」です。
中でもセスキはとにかくよく汚れが落ちると人気で、家中の掃除は全部セスキ1本という方もいらっしゃるとか。
お掃除と収納のプロ大津たまみ先生は
「確かにセスキ炭酸ソーダを使うとガンコな汚れが良く落ちます。
でも汚れを落とす力があるということは洗浄力が強いということなので、正しい使い方も知ってほしいです」と言います。
知っているようで知らないセスキ炭酸ソーダを使った掃除の基本を教わります。
そもそも、セスキ炭酸ソーダって?
セスキ炭酸ソーダは自然界にある鉱物、トロナセスキ鉱石を精製したもので、アルカリ性です。
重曹と比較すると重曹よりも粒が大きく、さらさらとした印象です。
重曹?クエン酸?セスキ? 使い分けは?
どんな汚れもラクに落とすと思われがちなセスキですが、他の洗剤同様、得意な汚れと不得意な汚れがあり、同じようなナチュラル洗剤の重曹やクエン酸とは使い分けが必要です。
クエン酸は“酸”とあるように”酸性(弱酸性)”です。水回りの白いこびりつき等アルカリ性の汚れを落とします。
重曹は”弱アルカリ性”。油汚れや皮脂汚れ等、酸性の汚れを落とします。
セスキも弱アルカリ性ですが、重曹よりもアルカリ度が高いです。
このため重曹では落としづらいガンコな皮脂汚れや油汚れもラクに落とすことができるのです。
「よく落ちるからセスキ!」と重曹よりも愛用する人がいるのはこのためです。
ただし大津先生からは注意点が。
「確かにセスキはよく落ちます。
ただ、アルカリ度が重曹に比べて高いため、素材を痛める可能性も高くなります。
肌荒れを起こしやすい人はゴム手袋が必要です」
日常の汚れには重曹を使い、重曹で落とせないくらいの強い汚れにはセスキを使う。
汚れ具合に応じて使い分けるのがおススメだそうです。
セスキ水の作り方
セスキはとても水に溶けやすい性質を持っているので、「セスキ水」を作って使うのが効果的です。
用意するもの
セスキ炭酸ソーダ…小さじ1/2
水…100ml
スプレーボトル
作り方
スプレーボトルにセスキ炭酸ソーダを入れ、水を加えよく混ぜる。
使う時は汚れにセスキ水をスプレーし、スポンジや雑巾などで汚れを拭き取ります。
セスキ水が残らないように水拭きし、乾拭きをして完了です。
注意点
セスキ水は一度に使い切れる量だけを作りましょう。
水は腐ります。セスキ水も腐ります。
腐ったセスキ水を使って掃除をしてもきれいにはならず、逆に汚しているようなものです。
濃度が高すぎるセスキ水を作るのはおすすめができません。
セスキが溶け切れずに粉のまま水に浮いてしまったり、洗浄能力が高くなる分、汚れだけでなく汚れている場所、素材を傷つけてしまう危険があります。
水に溶かす量は必ず守ってください。
セスキ水の使い方
弱アルカリ性のセスキ水は特にキッチンの汚れに強いです。
コンロ周りに飛んだ油汚れ、キッチン台の上のこびりついた汚れ、シンク回りや三角コーナーの汚れなどに効果的です。
油や調味料など、キッチン台の上のこびりついてしまった汚れにセスキ水を吹きつけ、水を含ませて絞ったスポンジでこすり落とします。
その後水拭きでセスキ水を拭き取り、乾拭きをします。
重曹では落ちにくい鍋ややかんのコゲ汚れにも効果的です。
鍋ややかんの側面には調理中に飛び散って熱でこびりついてしまった様々なコゲ汚れがついていて、重曹水だけでは落としにくいです。
これらをセスキ水を吹き付けてこすり落とすときれいになります。
「この落ち具合は快感です。どんどん鍋を洗いたくなります。あきらめていたお鍋でぜひ試してください」と大津先生。
ただしアルミ素材のものには使用できません。
また、塗料が塗ってある鍋は塗料が剥がれる危険がありますので、事前に目立たない所で試してください。
使ってはいけない場所があります
セスキ炭酸ソーダはアルカリ性が強いため、天然素材(畳、白木等コーティングされていない木材、本革等)清掃に使うと素材を傷め、変色させる恐れがあります。使用しないでください。
また、油汚れが良く落ちるということから特にキッチンのフローリング掃除で使われる方もいますが、フローリングには使わないでください。
「セスキ水のアルカリ度はフローリングの上のワックス剤をはがしてしまいます。
実際に私はお掃除の現場でワックスをかけ直す時にセスキ水をワックスの剥離(はくり)剤として使っていました。
普通にお掃除に使ってしまうとワックスをはがして床材を傷つける恐れがあります。
フローリングにセスキ水を使うことは避けてください」
と大津先生からストップがかかっています。
洗剤を使い分ける
大津先生から最後にこんなお話が。
「セスキ炭酸ソーダは正しい使い方を知り、使用してはいけない清掃場所をしっかりと理解した上で使えば、ガンコな汚れを落とす心強いアイテムです。
お掃除をする時は、家にも素材にも優しい安心できるお掃除をしてくださいね」