食中毒の原因となる菌を増やさないために。
食中毒の原因となる雑菌の繁殖。夏は細菌、冬はウイルスが気になります。
厚労省のデータによると、家庭内の食中毒発生率はおよそ1割。
しかし、お掃除と家事のプロとして数多くの家庭を見てきた大津たまみ先生の意見は異なります。
「家庭内の食中毒は『ちょっとおなかが痛いけどガマンする』という数字にならないケースが多いんです。実際はもっと頻繁に発生していて、身近な危険です」
そして「食中毒の予防には食材の管理だけでなく、調理環境の対策が必要です。 除菌のための掃除を徹底して行い、清潔を保って食中毒の発生を抑制しましょう」と提言。
中でも気をつけたいのは「シンク」「蛇口」「まな板」「包丁」「ふきん」の5ヵ所。
今回は習慣にしたい食中毒の予防方法を教わります。
食中毒対策1:シンクの掃除
食中毒予防のために重要なのはシンクの掃除です。
「シンクをしっかり洗えていない人がとても多いです!」と大津先生。
「シンク内の水滴には調理や後片付けの過程で、細菌が好む目に見えない汚れが溶け込んでいます。しっかり洗って徹底的に水滴を取らないとシンク中に細菌が繁殖してしまいます」とのこと。まずはシンクの掃除方法です。
シンク掃除のために用意するもの
- 除菌効果のある食器用洗剤
- スポンジ
- 金だわし
- マイクロファイバークロス(もしくは吸水性が高い布巾)
毎日の掃除
シンクは特に側面や角の部分に汚れが残りやすいのでしっかりこすり、さわった時にヌメリやざらつきがなくなるまで洗います。
ステンレスのシンク掃除には、スポンジの周りに固めの金属のたわしが巻いてある「金だわし」を使いましょう(ステンレス掃除用と書いてあるものが多いです)。
ステンレスを傷つけないようにやわらかいスポンジでなでるように洗う人が多いですが、これではこびりついた汚れは落ちないと大津先生は言います。
そもそも、シンクのステンレスは頑丈で、ステンレスの目に沿って洗えば金だわしを使っても大きく傷つくことはないそうです。
目は大抵は横方向についているため、金だわしを横に動かして汚れを落とします。
わからない場合は方向を決めて、一定方向にたわしを動かせば大きな傷にはなりにくいです。
最後にマイクロファイバークロス等を使って水滴が残らないようにしっかり拭き上げれば終了です。
週に1度の掃除
金だわしで洗った後、スポンジに除菌効果のある台所用洗剤をつけて泡立て、シンク全体を洗います。
水で洗い流し、マイクロファイバークロス等で水気を拭き取ります。
食中毒対策2:蛇口の掃除
見逃しがちですが蛇口回りも菌が多いです。
雑菌のついた手で何度も触るため菌が移りやすく、シンク同様、調理中の汚れが混ざった水滴がつくので菌が繁殖しやすい場所です。
ブラシ等を使って周りのぬめりを落とした後、マイクロファイバークロスで水滴が残らないよう拭き上げます。
食中毒対策3:まな板の除菌
まな板についた雑菌はそこから食材に移る危険が高いのでこまめな除菌が欠かせません。
まな板の除菌で用意するもの
- まな板
- 熱湯
- キッチンペーパー
- 塩素系漂白剤
毎日の除菌
まな板を食器用洗剤でしっかり洗った後、両面にゆっくりと熱湯をかけます。
ヤケドにはくれぐれも注意をしてください。
週に1度の除菌
塩素系漂白剤を使います。
まな板の上に乾いたキッチンペーパーを置き、塩素系漂白剤をかけてしばらく置きます。
使用量や使用方法は必ず洗剤の表示に従ってください。
食中毒が気になる季節は毎回行うのが理想的です。
※塩素系漂白剤の使い方についてはこちらのコラムもチェックしてください。
→ちゃんと知りたい!「漂白剤」の安全な使い方
食中毒対策4:包丁の除菌
包丁にはまな板や手から移った雑菌がついています。
特に包丁の付け根部分は洗い残しが多く、菌が繁殖しやすい場所です。
食後の片付けの最後に消毒用エタノールを拭きつけて除菌をしましょう。
※エタノールを除菌の方法についてはこちらのコラムもチェックしてください。
食中毒対策5:布巾のお手入れ
「布巾を調理台に掛けて干している家庭が本当に多いです。これはいけません!
布巾についた菌をシンクや調理台に広げています。
そこから食材にも菌が移ってしまいます」と大津先生は警告します。
雑菌の繁殖を防ぐため、布巾は風通しのいいところに干し、濡れている時間をできる限り短くしてください。
毎日の除菌
1日の終わりに使い終わった布巾を塩素系漂白剤に浸して殺菌します。
使用量や使用方法は必ず洗剤の表示に従ってください。
塩素系漂白剤は脱色効果があるので、色落ちしても大丈夫な布巾を使いましょう。
最後に
近年、従来の除菌方法では効果が薄いような強力な細菌やウイルスが増えてきています。
市販の塩素系漂白剤に含まれる次亜鉛酸ナトリウムには強い除菌効果がありますので、家庭での除菌に有効です。
ただし、塩素系漂白剤は毒性が強いです。
家族の健康を守るためにも用法容量をしっかり守って、賢く効率的に除菌をしてください。